第266章 IFストーリー

記憶をたどりながら、紙を傷つけないよう慎重にハート型の折り目をほどいていく。ぱらりと開いた瞬間、胸の奥がじんと熱くなった。

見慣れた海子の、あの細くて整った文字。指先に伝わる便箋の感触、独特の紙の繊維と折り皺の具合まで、どれもこれも見覚えのあるものだった。

昨夜、海子が「裏切って」いなかったと確信できて、張りつめていた心がふっと軽くなる。私は抑えきれない気持ちのまま、食い入るように手紙を読み始めた。

【あなた、この手紙を読んでるってことは、きっとわたしたちが若かった頃の思い出を、いろいろ思い出してくれてるよね? 最後に手紙を書いたのは、まだ大学を卒業する前、ふたりで手紙のやり取りをしな...

ログインして続きを読む