第268章 IFストーリー

 ちょうどそのとき、昨夜決めた「海子を試す」という考えを思い出した。今の状況からすれば、そんなことをする必要なんてまるでない。けれど、胸のどこかが、その結果をひどく気にしている。

 何度か深く息を吸ってから、洗面台のコップを元の位置へ戻す。取っ手が二つ、ともに左側を向くように、そろえて。

 コップをいじり終えると、また手を洗い始めた。あのコップを見たとき、海子はきっと心底驚くだろう。海子の考えからすれば、今夜の私は残業で帰ってこない。つまり、それは「今夜は父と二人きりで過ごしていい」という暗黙の合図のはずだ。だが、私が帰らないからといって、二人の関係を今夜許すとは言っていない。海子は、そ...

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