第272章 IFストーリー

 俺の言葉を聞いた途端、海子は俺の胸の中から勢いよく身を起こした。ぽかんと口を開けたまま俺を見つめ、その瞳には信じられない、という色が浮かんでいる。

 そんな表情をされるのは、正直想定の範囲内だった。……いや、自分でも、さっきの台詞を口にするなんて思っていなかった。まるで自分の頭の中に誰かが入り込んで、代わりに喋らせたみたいに、気がついたらあの言葉が出ていた。

 口にした瞬間には、もう後悔していた。だが、そこで後悔を顔に出すことはせず、俺は海子に微笑み返す。できるだけ平然としているようにふるまう。男として、一度吐いた言葉を引っ込めるわけにはいかない。

 今になってよくよく考えてみれば─...

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