第276章 IFストーリー

 まだ家の監視ビデオの時間設定をいじっている途中だった。マウスをカチカチやりながら画面に見入っていると、モニターの下に置いてあったスマホがふっと明るくなる。

 海子からの着信だった。

 思わず身が強張る。指先はマウスの上に乗ったまま、視線だけがスマホへと吸い寄せられる。

 予定を変えるしかない。監視カメラより、今はこっちが先だ。

 スマホを手に取って、通話ボタンに親指を滑らせた。

 胸の奥が、じわじわと落ち着かない。こんな時間に海子の方から電話をかけてくるなんて――やっぱり、探りを入れてくるつもりなのか。今夜は残業かどうか、家でご飯を食べるかどうか、それを確かめてから、次の段取りを...

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