第288章 IFストーリー

 海子と目が合ってから、私たちはそろって、もりもりと夕飯をかき込んでいる浩太のほうへ顔を向けた。もう一度だけ視線を交わす。そこにあったのは、やわらかな色と、どうしようもないほどの愛しさだった。私たちは言葉もなく、ほんの少しだけ笑い合い、それから箸を取った。食事のあいだ、海子は浩太におかずを取り分け、ついでのように私の皿にもそっと乗せていく。食卓には、こぢんまりとした幸福が満ちていた。

 夕食を終えると、私と浩太はソファに並んでテレビを見た。今の私の忙しさからすれば、テレビなんて贅沢品みたいなものだ。ふだんなら、飯を食い終わったあとには、疲れ切った身体を引きずってすぐに寝室へ行き、ベッドに沈...

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