第292章 IFストーリー

 海子は、ついに寝室のドアの異変に気づいたらしい。しかも、昨夜の私が、彼女と父のことをこっそり監視していたことまで――少なくとも、うすうす察しているようだった。

 その海子のメッセージを読んだ瞬間、胸の奥が、きゅっと締めつけられるように痛んだ。昨夜の自分の軽率さが、今になってどっと押し寄せてくる。あれでは完全に藪をつついて蛇を出す、だ。幸い、監視カメラそのものの存在までは気づいていないようだが。

 だが、その「藪をつついた」ことで、思いがけない展開も生まれていた。

 海子が、自分から「父との関係を終わらせる」と口にしたのだ。

 その知らせを目にして、私は思わず大きく息を吐き出していた...

ログインして続きを読む