第297章 IFストーリー

 ドアが閉まる音が、やけに遠くに聞こえた。

 あの距離感からして、海子が向かったのは父の部屋しかない。こんな夜更けに、海子は父の部屋に何をしに行ったんだろう。まさか、ひとりでオナニーでもして、自分の欲を紛らわせに……?

 それとも……父はまだ家にいて、私が気づかなかっただけで、海子は父の部屋に「甘え」に行ったのか。いや、それはないはずだ。今朝、歯磨き用のコップをわざわざ確認した。取っ手はずっと同じ側を向いたまま。海子から求めている合図は一切出ていなかったし、私も取っ手の向きを変えていない。そんな状態で、海子が自分から父の部屋に行って、父といちゃつくなんてこと、あり得るだろうか。

 まさ...

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