第64章

そう、私もその細かいところに気づいていた。海子は確かにバスルームのドアに鍵をかけていない。しかし明らかに、この時の海子は精神的に混乱していて、そんな細かいことまで考える余裕などなく、絶対に意図的にドアの鍵をかけなかったわけではない。

しかし、この時それは父親に誤った暗示を与えてしまったのかもしれない。頭の単純な父親の顔に一瞬の興奮が走り、この誤解に加えて薬効がまだ残っていることもあって、父親は手をこすり合わせながら、限界まで硬くなった陰茎を突き立てたままベッドから立ち上がり、ゆっくりとバスルームへ向かって歩いていった。

バスルームで鏡の前でぼんやりしていた海子は、父親がベッドから起きて歩...

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