第117章

言い終えると、彼は通話を切り、見上げる先にある二階の明かりが灯る窓へ視線を送った。

どれほどの時間が過ぎたか。その明かりがふっと消えてから、ようやく殊はエンジンをかけ、マンションの敷地を後にした。

翌日、知意はスマホの着信音で目を覚ました。

手を伸ばしてスマホを探り当て、薄目を開けて画面を見る。

坂上弁護士からだ。

「夏目さん、朝早くから申し訳ありません」

坂上弁護士の声は、いつもより少し沈んでいた。

「離婚訴訟の件で、少々トラブルがありまして」

知意は身を起こしてベッドボードに寄りかかった。眠気は一気に吹き飛んだ。

「トラブル、ですか?」

「裁判所から、開廷を延期すると...

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