第119章

目の前の女が、虚栄心にまみれた薄っぺらい女であることなど、一目見ればわかる。そんな手合いは腐るほど見てきた。

だが、葵だけは違った。打算などなく、ただ真心だけで人と接する。

それほど素晴らしい女性なのに、目の前のこの男は、その価値に気づきもしないのだ。

再び蓮に視線を戻したミルの声は、氷のように冷え切っていた。

「お前が、あの節穴のろくでなしか」

蓮は彼を見つめ返すだけで、抵抗するでもなく、弁解するでもない。

ミルに胸ぐらを掴まれたまま、ただ無表情にそこに立っていた。

ミルは忌々しげに彼を睨みつけていたが、やがて手を離し、一歩後ずさった。

蓮は皺になった自分の襟元へ視線を落と...

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