第21章

知意の視線が落ちる。表紙には、はっきりとしたゴシック体でこう印字されていた。

『知意の今後の就業制限および秘密保持に関する合意書』

書類を手に取り、ページをめくる。びっしりと並んだ条項を静かに目で追ううち、心の奥底に広がる荒野がさらに凍てついていくのを感じた。

合意書には明確に記されている。向こう二年間、個人名義での脚本家活動を禁じ、署名権の行使も認めない、と。

過去に携わった全プロジェクトの知的財産権は、ことごとく神谷グループに帰属する。

違約した場合の代償は、両親への全援助の打ち切り。そこには、弟が通う高額な私立校の学費も含まれていた。

一枚、また一枚とページをめくる。知意の...

ログインして続きを読む