第76章

男はすぐに気を取り直すと、立ち去るどころか再び距離を詰めてきた。

今度は知意のすぐ隣に腰を下ろし、背後の背もたれに腕を回す。馴れ馴れしい態度だ。

知意は眉をひそめ、横へずれて距離を取った。

「失せろと言ったはずよ」

男は怒るどころか、さらに下卑た笑いを浮かべた。

「キツい性格だな。そういうの、嫌いじゃないぜ」

背もたれにあった手が滑り落ち、知意の肩へ伸びてくる。

「一人で飲んでてもつまんないだろ。俺が付き合ってやるよ。絶対にいい思いさせてやるからさ」

その手が肩に触れようとした、次の瞬間——

ガシャン!

鈍い音と共に、男の頭で酒瓶が砕け散った。

「ぎゃあっ!」

男は悲...

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