第79章
着信音が鳴り響いたとき、知意はドアを背にして座り込み、自らを暗闇に委ねていた。
画面に点滅しているのは、見知らぬ番号。
少し躊躇ったが、結局通話ボタンをタップした。
「もしもし」
「お姉ちゃん!」
スピーカーから聞こえてきた幼い声は、一筋の光のように、部屋に満ちた暗闇を瞬時に切り裂いた。
知意の手がぐっとスマートフォンを握りしめる。何の予触れもなく、涙が溢れ出した。
「僕だよ、光だよ!」
電話の向こうの小さな子は、忘れられているとでも思ったのか、さらに付け加えた。
「昨日の、光!」
知意は口元を覆い、声が漏れないように必死に堪えた。
何度も頷いてから、相手には見えないこ...
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