第96章

その時、病室のドアが開いた。

「お姉ちゃん!」

光が駆け込んでくる。その手には、さっき下で拾ったばかりのプラタナスの落ち葉が握られていた。

「お姉ちゃん、見て! こんなに大きい葉っぱ!」

二人は何も言わなかった。

光が入ってきた瞬間、知意の表情は一変した。

先ほどまでの冷たさや刺々しさは消え失せ、目元は和らぎ、唇には優しい弧が描かれる。

彼女はその葉を受け取り、裏返したりして見つめると、そっと言った。

「本当、綺麗ね。小さな扇子みたい」

光はベッドに這い上がり、彼女に寄り添うように座ると、小さな頭を寄せて一緒に葉っぱを覗き込んだ。

数秒後、ふと何かを思い出したように顔を上...

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