第18章
盛岡晃が病室にいたのはわずかな時間だった。着信音が鳴ったが、彼は電話に出なかった。
浅沢瑶は彼をちらりと見て言った。
「用事があるなら、先に行って」
盛岡晃は少し申し訳なさそうに祖父を見て言った。
「お祖父さん、まずはゆっくり休んでください。また後で来ます」
祖父はうなずいた。
「ああ」
盛岡晃が病室を出ていくと、張り詰めていた空気がようやくふっと緩んだ。
浅沢瑶はぬるま湯の入ったコップを手に取り、綿棒を浸して、祖父のひび割れた唇をそっと潤した。
老人はずっと目を閉じていたが、彼女がその作業を終えると、ゆっくりとまぶたを開けた。濁ってはいるがすべてを見透かすようなその目が、...
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