第19章

彼女は彼らが何を話したのか問いただすこともなく、ただ彼を見つめ、冷酷なまでに静かな声で退室を促した。

「荷物は持ってきたわ。もう帰って」

盛岡晃の背中が、一瞬だけ硬直する。

ゆっくりと振り返り、目の前にいる、波一つない水面のように静まり返った女を見つめた。老人の言葉でどうにか押さえ込んでいた苛立ちが、再び抑えきれずに湧き上がってくる。

これは命令だ。追い払われているのだ。

以前の彼女なら、こんな口の利き方など絶対にできなかったはずなのに。

本来なら怒鳴りつけているところだ。だが、その空虚な瞳と視線が交差した瞬間、喉元まで出かかった棘のある言葉はすべて詰まってしまった。

先ほどの...

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