第34章

パソコンを開き、再び仕事に没頭する。そうしてこそ、体の不調と心の奥底に広がる荒涼とした思いを、一時的にでも忘れられるからだ。

どれほどの時間が過ぎただろうか。ふいに、ドアが軽くノックされた。

浅沢瑶はルームサービスだと思い、顔も上げずに言った。

「どうぞ」

ドアが開き、入ってきたのは予想外の人物だった。

「浅沢総部長」

長谷川薫はフルーツバスケットを手にドアの前に立っていた。その表情には、技術者特有の生真面目さと少しのぎこちなさが浮かんでいる。

「斉藤さんから、具合が悪いと聞きまして。ちょうど通りかかったので、お見舞いに果物を持ってきました」

浅沢瑶は少し驚き、慌てて立ち上が...

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