第54章

盛岡家が3年ものあいだ負い目を抱え続けてきたこの娘は、結局のところ、あのふがいない息子の手によって完全に心を砕かれてしまったのだ。

「わかった」

盛岡重臣の声には、かすかな疲労と申し訳なさが滲んでいた。

「病院へは安心して行きなさい。会社のことは、私がなんとかしておこう」

「お義父さん、ありがとうございます」

浅沢瑶は小さく礼を言い、電話を切った。

バスルームへ入り、鏡に映る血の気のない自分の顔を見つめて、彼女は自嘲気味に笑う。

着替えを済ませた浅沢瑶は、車を運転してまっすぐ病院へ向かった。

駐車場に車を停め、降りようとした矢先にスマホが鳴る。会社の人事部からだった。

『奥...

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