第114章

裏切られたという怒りが、瞬く間に樫木徹の理性を焼き尽くした。

彼は凄まじい形相で、月見光に猛然と飛びかかった。

「月見光、この毒婦が! 俺がどれだけ尽くしたと思っている! よくも裏切ったな!

 お前がそう来るなら、俺も容赦しない。道連れにしてやる、一緒に地獄へ落ちろ!」

樫木徹の手が、月見光の細い首へと伸びる。

「取り押さえて!」

月見華が冷静に命じた。

すでに警戒していた冬月蒼真の反応は速かった。目にも止まらぬ速さで踏み込むと、鮮やかに樫木徹の手首を極め、そのまま壁にねじ伏せる。

樫木徹は必死に身をよじり、充血した目で月見光を睨みつけながら、口汚く罵り続けた。

月見光は恐...

ログインして続きを読む