第129章

朝霧グループ、社長室。

月見華は提携案件の書類に目を通していた。不意に内線電話が鳴り、秘書の声が響く。

「朝霧社長、鴉崎社長からお電話です」

彼女はわずかに眉を寄せ、受話器を取り上げた。

「はい、何用でしょうか」

電話の向こうから、鴉崎響の低く、感情の読み取れない声が伝わってくる。

「今夜七時、華悦ホテルでチャリティーオークションのパーティーがある。同伴しろ」

その口調はあまりに当然のようで、まるで月見華には彼に従う以外の選択肢がないかのようだ。

月見華は受話器を握る指に、思わず力を込めた。

そのような華やかな場に行けば、好奇の視線や心ない噂話に晒されることは想像に難くない...

ログインして続きを読む