第156章

言い終えると、彼女は恐る恐る鴉崎響の顔を覗き込んだ。その万年氷のような表情に、ほんのわずかでも感情の揺らぎが見えることを期待して。

だが、鴉崎響はただ微かに片眉を上げただけだった。その口調には、隠しきれない苛立ちさえ滲んでいる。

「それは君のプライベートな問題だ。いちいち僕に報告する必要はない」

言い捨てるや否や、彼は足を止めることなく、彼女の横を冷淡に通り過ぎていった。

月見光はその場に凍りついた。顔に貼り付けていた笑顔は瞬時に強張り、血の気が引いていく。

手にしたトロフィーを握りしめる指には、金属の台座に爪が食い込むほど力が籠もっていた。

まさか……ここまで無関心だなんて。社...

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