第259章 過去の出来事

愛情のためなら、向日美香はすべてを投げ打つことができた。どんな理不尽な目に遭おうとも、自分の想いを手放すような真似は決してしない。

その感情があまりにも純粋だったからこそ、そこに一片の汚点すら生じることを許せなかったのだ。

どうしてもあの出来事を受け入れられず、自ら身を引くことを選び、彼女は国を離れた。

異国の地で、藤原太郎と小林美穂が結婚したという報せを耳にした時の喪失感は、筆舌に尽くしがたいものだった。

ちょうどその頃、彼女に熱烈なアプローチをかけてくる男性がいた。半ば自暴自棄になっていたこともあり、あてつけのように彼の手を取った。

出会いからひと月も経たずに婚姻を結び、やがて...

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