第306章 メンツのため

「万が一、わざとじゃなくて本当に事故だったとしたら? 車をぶつけたら怪我をする危険だってある。君も少しは心配してあげた方がいい」

西山芳野は仕方なさそうに頷き、承諾した。

「わかったわ」

そう言うと、彼女はすぐにスマートフォンを取り出し、遊田敬二と同乗している仲間に電話をかけた。

コール音はすぐに途切れ、通話が繋がる。

西山芳野は単刀直入に尋ねた。

「遊田敬二が事故に遭ったって聞いたけど、怪我はない!? 小林院長もすごく心配しているの!」

電話口の相手は少し気まずそうに、無意識のうちに口走った。

「それが、遊田敬二兄貴がぶつけたのは……」

言葉を言い終える前に、遊田敬二が身...

ログインして続きを読む