第102話

アルファ・ニコラス

どうにか冷静を保ったまま、俺は自分のメイトを抱きかかえて俺たちのフロアまで運び、寝室へと入った。だが、彼女をベッドに横たえ、眠っているときの彼女がいつもいかに無垢に見えるかを目の当たりにした瞬間、怒りが猛烈な勢いでぶり返し、血管の中を煮えたぎる憤怒で体が震えた。

あのクソ野郎タロンが、俺のパックの土地に、俺のパックハウスに乗り込んできて、現在俺の保護下にある若い娘を連れ去ろうと考えたことだけでも十分に許しがたい。だが、俺に忠実であるはずだった、ここにいる全員に忠実であるはずだったあのクソ野郎どもが俺たちを裏切ったことは、魂を打ち砕かれるような思いだった。

最悪なこと...

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