第11話

アルファ・ニコラス

二時間も愛想を振りまき、意識的に自分のメイトを避け続けた後、夜の着席形式の食事会の時間がやってきた。当然、俺はスピーチをしなければならず、全く気乗りがしない。誤解しないでほしいのだが、俺はアルファであることが好きだし、群れの仲間たちのことはそれ以上に愛している。他の群れがわざわざここまで足を運んでくれるのは、常に名誉なことだ。だが、俺が耐えなければならない無意味な会話の数々や、そうしたくない相手に愛想笑いを浮かべなければならない時間が、ただただ嫌いなのだ。

俺は人生で出会うほとんどの人間とうまくやっていける方だが、時折、誰かに対して奇妙な感覚を覚えることがある。そいつは悪...

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