第118話

ボニー

十分後、彼のオフィスに着いてドアをノックしたけれど、返事はない。感覚を研ぎ澄ましてみるも、彼の匂いは感じ取れない。リンクしてみようと決めたが、彼はリンクを遮断していた。正直に言うと、少し心配になってきた。

「大丈夫か、ボン?」

背後から現れたシェーンの声に、私は飛び上がった。

「うわっ、ごめん、脅かすつもりはなかったんだ」

彼が優しく私の肩をさする。今の自分の間抜けな様子を想像して、思わず小さな笑いが漏れた。

「大丈夫よ。ニックを探してるんだけど、見つからなくて。リンクもブロックされてるの」

シェーンはニックのオフィスのドアの鍵を開けると、こちらに向き直った。「彼はジムにい...

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