第124話

アルファ・ニコラス

俺たちが牢を出てから、きっかり六時間三十二分後、俺たちは未来のアルファとなるウェイドをこの世に迎えた。あいつは元気に泣き叫びながらこの世に生を受け、体重は九ポンド三オンス、信じられないほど手足の長い子狼だった。将来はきっと大柄な男になるだろう。その成長の一瞬たりとも見逃したくない。娘については、その存在を知らなかったせいで最初の数年を見逃してしまったが、息子の人生は、どんな一部たりとも見逃すものか。

ボニーはすごかった。彼女は戦士のように産苦を乗り越えた。もちろん、彼女ならできないと思ったことは一度もないが、それでも、あれほど優しい魂と心を持つ女性が、いざという時には雌...

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