第31話

アルファ・ニコラス

「そうだろうな。ローグが認めたんだ。リサが魔法を使って群れを助けていたこと、そして誰かに近づきすぎずとも簡単に相手をトランス状態に陥れる呪文を唱えられることも、そのローグは知っていた。奴らが全員姿を消してから数年後、すべてはリサが計画したことだったと聞いた。あの日、トニーを群れに連れてこさせた黒幕は彼女だった。だが、トニーが誰かを連れてくることまでは計画していなかったらしい。だから森の中でちょうどいいタイミングで十代の少年を見かけたとき、彼女は呪文を唱えて走り出したんだ」

「ただ、彼女はそれがトニーかどうかを確かめるために十分に立ち止まらなかった。代わりにエイドリアンに...