第35話

ボニー

森に入ってレクシィが解き放たれた瞬間に感じた解放感は、そう長くは続かなかった。頭の中はごちゃごちゃで、ほんのわずかな時間でさえ、思考や感情を止めるのは難しい。月の女神は私に恨みでもあるに違いない。ちっとも休ませてくれないのだから。まず、母のことを知るどころか、思い出すことさえできないうちに失って、それからあんな風に育つことを許されて、そして今度は、私の心をピンポン玉みたいに弄ぶメイトまで現れるなんて。爆発してしまいそうだ。

動揺から怒りへと感情が揺れ動き続ける。隅でボールみたいに丸まって気を失うまで泣きじゃくりたいのに、怒りがそれを上回っている。今はただ、叫び、わめき散らし、目に入る...