第53話

アルファ・ニコラス

彼女の背中がドアにぶつかった時、口から漏れた息を呑む音は最高に可愛らしかった。瞳のきらめきが俺の腹の底をざわつかせ、身を屈めてキスせずにはいられなかった。キスは甘く優しく始まったが、すぐに熱く、蒸せ返るようなものへと変わる。気づけば俺は彼女の下唇を舐め、中に入れてくれとねだっていた。だが彼女は口を開けず、見上げると、にやりと笑っている。ああ、そうか。俺の女はそういうゲームをしたいってわけか? 問題ない!

もう一度キスをしてから、彼女の下唇を軽く噛んでやる。彼女から喘ぎが漏れ、その好機を最大限に利用して舌を滑り込ませ、甘い甘い口の中を隅々まで探った。息が切れるまでキ...

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