第62話

戦士トニー

メイトの話を聞いているだけで、すでに心が引き裂かれそうだ。しかも、これがまだ序の口に過ぎないような気がしてならない。彼女がずっと独りぼっちで、家族もなしに過ごしてきたと知るだけでも辛いのに、俺が文字通り、彼女のセーフハウスの上を歩いていたこと、ほんの数メートル先にいたのに、彼女をそこに置き去りにしてしまったことを知ると、腸が煮え繰り返る思いだ。計算が正しければ、この時彼女は十四歳だったことになる。つまり、あの日彼女をそこから救い出していれば、俺は彼女が自分のメイトだと気づいていたはずだ。

もちろん、だからといって何かが起きたわけでも、俺が彼女に事実を告げたわけでもないだろう。だが...

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