第56章 松見友樹を心配する

松見和也は眉を顰め、その名前に聞き覚えがあった。噂によれば、気まぐれで気分屋な男だという。だがその「気分屋」とは、どの程度のものか?それは、一瞬前まで笑顔を向けていたかと思えば、次の瞬間には命を奪おうとするほどの危険な男だった。

彼は巨大な殺し屋組織を率いており、その勢力がどこまで広がっているのか誰も知らない。絶対的に危険な存在だった。

松見和也はその名を聞いたことはあるが、一度も会ったことはなかった。

まして、篠崎沙耶香がそんな人物と関わりを持っているとは、想像すらしていなかった。

「確かなのか?」

「確かです!」白石尭は断固として頷いた。「だから兄貴、篠崎沙耶香に関することは全...

ログインして続きを読む