第13章

何事もなかったみたいに、林原撫子は手早く服をハンガーに掛け直し、部屋へ戻って真っ黒なロングドレスに着替えた。

長い髪はさらりと下ろし、耳にかける。スマホを鞄へ放り込み、引き戸を引いて外へ出た。

今日、彼女には大事な用が二つある。

ひとつは――先日の工場で命を落とした「英雄」たちの葬儀。今日がその日だ。

何があっても、現場へ行って手を合わせるべきだった。

もうひとつは、生活のため。

今の自分は、林原家と完全に決裂したも同然だ。林原お父さんも林原お母さんも、これ以上金を出すはずがない。

けれど、そもそも撫子は、あの家の金をもう使う気になれなかった。

朝のうちに求人サイトで見つけた...

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