第19章

「あっ、お姉さま!」

その瞬間、林原寧々は何も知らない顔をつくり、目元にみるみる涙を溜めた。

「わざとじゃないの。今日のスカート、ちょっと長くて……足を引っかけちゃって」

彼女の視線が、赤ワインでぐっしょり染まった林原撫子のスカートへ落ちる。心配そうに眉を寄せて言った。

「お姉さま、わたしのこと怒ってるのはわかる。でも今日は、こういう席でしょ? みっともないし、気持ち悪いでしょ……早く着替えたほうがいいよ」

「あとで、ちゃんと謝るから……」

いかにも申し訳なさそうに唇を震わせたかと思うと、寧々はすぐ手を上げ、近くのスタッフを呼び止めた。

「すみません。お着替えできる場所ってあり...

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