第34章

だが、誰もが予想しなかった。刃山は地面に崩れ落ちるその瞬間になっても、瞳の凶光を消していなかったのだ。手首が、びくりと跳ねる——

手放されたナイフが、一直線に村木原矢の喉元へ飛んだ。

その刹那、時間が凍りついたように感じた。

林原撫子の瞳孔がきゅっと縮む。息さえ、一拍止まる。

声を出して警告する暇すらない。ただ、冷たい光が村木原矢の首へ迫っていくのを見守るしか——

けれど、村木原矢の反応は、彼女の想像より速かった。

体勢を崩さないまま、刃が目の前に迫った一瞬で、すっと身をひねる。

刃先が頸の脇をかすめ、ひゅ、と鋭い風が走った。同時に右手が稲妻みたいに伸び、タクティカルグローブ越...

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