第8章

林原寧々は病室に入るなり、ぴーちくぱーちくとしゃべり続けた。村木奥様へのへつらいが終わったかと思えば、今度は村木原矢に対して、やけに距離の近い気遣いを押しつけてくる。

だが村木原矢にとっては、ありがたみなど欠片もない。ただ頭が騒音で割れそうなだけだった。

村木原矢が求めたのを聞くと、林原撫子はすぐに察して、新しい綿棒を取り出して水を含ませ、差し出した。

「ありがとう」

村木原矢は礼儀正しく、もう一度礼を口にする。

その瞬間、脇に立っていた林原寧々の顔に浮かんだ驚きと気まずさは、隠す暇すらなかった。

――なんで。

林原寧々は奥歯を噛みしめる。

自分に冷たいのはまだいい。なのに、...

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