第32章

 家の片づけはあっという間に終わり、翌日には手続きもすべて済んだ。

 梨紗はもう一日だってあの家にいたくなかった。だから手続きが完了した次の日には、すぐに引っ越し業者を呼び、わずかな荷物を運び出させた。

 余計な揉め事を避けて無事に引っ越すため、梨紗はわざと家に誰もいない午後を選んだ。

 とはいえ、亀之助が健治を留置場から保釈させるつもりだと聞いていたせいで、鉢合わせになるのが不安だった。念のため、梨紗は屈強なボディガードを四人も呼んでいた。

 荷物の運び出しが半分ほど済んだところで、まさか本当に健治が現れた。

 留置場でしばらく過ごしたせいか、健治はひと回り痩せていた。無精ひげも...

ログインして続きを読む