第12章

「九条美琴ッ!」

九条柏人がついに堪忍袋の緒を切らし、怒号を叩きつけた。食卓を囲んでいた全員がびくりと肩を跳ねる。

広末蓉子が慌てて未来の嫁に駆け寄り、宥めるように言った。

「麗子ちゃん、相手にしないで。あの子、三年も売られて……頭がおかしくなっちゃったのよ。いつも訳の分からないことばっかり言うの」

——これ、実の母親の口から出る言葉?

美琴は冷たく笑っただけで、弁解もしない。

佐倉麗子は、美琴を見た瞬間から胸の奥に嫌悪と拒絶を押し込めていた。

なのに、先に火をつけたのは美琴のほうだ。

麗子は広末の慰めを無視し、鋭い目で九条柏人を睨みつける。

「昨日、なんて約束したの? あ...

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