第19章

「来た途端に『やっぱり売らない』って言い出したの、誰だったっけ?」

陸川雅樹は、彼女が何を示唆しているのか察していた。少し考えた末、淡々と言う。

「いいよ。あんたが本当に一括で払えるなら、100万は引く」

水野莉央はぱっと顔を輝かせ、九条美琴の腕にしがみついてぶんぶん揺らした。

「やった! 美琴、買おう!」

九条美琴は相変わらず冷ややかな顔を保っていたが、胸の奥では小さな歓喜がふつふつと湧いていた。

まさか、こんなにあっさり100万も値切れるとは。

――こいつ、あたしに散々言われて目が覚めた? 急に良心でも芽生えて、善人ぶる気になったとか?

双方の合意が取れたところで、腰を据...

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