第43章

九条美琴は事務的な口調で、あの日の「恩」をきっちり切り分けた。

陸川雅樹はそれを聞き、端正で奥行きのある顔に困惑を浮かべる。数秒、言葉を失ったあとで口を開いた。

「普段から、人付き合いってそんなふうに細かく勘定するのか?」

「原則があるだけ。貸し借りははっきりさせるの」

「ふん」

陸川雅樹は鼻で笑った。

「それともう一つ。私の居場所を知っていながら菅野優斗に言わなかったのは、まあ……分別があったってことね」

九条美琴の声音は、言うほどに尊大になっていく。

陸川雅樹はますます言葉を失った。スマホ越しに首を絞めてやりたい衝動すら湧く。

「九条家の長女ってのは、いつもそうやって人...

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