第60章

「なんであんたがここにいるのよ?」

九条瑞希の声が、きんと高く跳ねた。

九条美琴は振り返る。腕にはロングドレスを一着、さらりと掛けている。

「私がここにいちゃいけない理由でもあるの? この店、あんたの店なの?」

「……っ」

瑞希は美琴を上から下までねめつけ、やがて鼻で笑った。

「そんなにぐるぐる隠して。どうせ皮膚が腐って膿でも出てるんでしょ? よく外に出られるわね。人にうつしたらどうするの?」

言い捨てるなり、瑞希はくるりと向きを変えて大声を張り上げた。

「店長は!? この人、感染症よ! 皮膚から膿が出てるのに店に入れるとか、ありえないでしょ! この人が試着した服、誰が着るの...

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