第61章

「くそ野郎! 菅野優斗、あんたの子をひとり流して、心も体もズタズタにされたのに……その挙げ句が疑いなの?」

九条瑞希は涙を滲ませながら怒鳴り、顔を歪めて肩を震わせる。――そして、ずる賢く話題をすり替えた。

菅野優斗は唇をきゅっと結んだまま、何も言わない。

「くそ野郎! この、くそ野郎!」

瑞希は彼の胸を乱暴に叩きつけ、ぷいと背を向けて立ち去ろうとした。

店長が慌てて声をかける。

「九条様、お召し物が――」

瑞希はぴたりと足を止め、身にまとったドレスを見下ろす。苛立ちを露わに踵を返し、試着室へ戻ると、勢いよく脱いでぐしゃりと放り投げた。バッグを引っ掴み、そのまま店を出ていく。

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