第68章

「どうしてダメなの? どうせ私は結婚して子どもを産むつもりもない。この臓器なんて、私にとっては足かせでしかないの」

彼女をここまで傷つけたのは、恋愛と家族――そのどちらもだった。

痛みが重すぎる。

ひとりぼっちでいい。そう思ってしまう。

恋に振り回される必要もない。

家庭だの子どもだのに縛られる必要もない。

痛快に生き切って、さっぱり終える。身軽で、自由で――それで十分じゃないか。

「九条美琴、そんな馬鹿げたことを言うな。医学は進歩し続けてる。方法は必ずある。子宮を温存しながら苦痛を軽くできた症例だって臨床にはいくらでもあるんだ。勝手に諦めるな」

陸川雅樹の真剣な叱責を聞いた...

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