第72章

病院のほうでは、疲れきった陸川雅樹が椅子を引いて腰を下ろし、少し肩の力を抜いた声で言った。

「甥っ子なんだ。具合が悪くてさ。親父は海外出張中、家には家政婦が二人いるのにあの子を手に負えなくて。母親も仕事が立て込んでる。だから急きょ、俺が様子を見に行った」

――やっぱり。

九条美琴は、胸の奥に引っかかっていたものがすとんと落ちた。

なんて大きな誤解をしていたんだろう。

「年上のくせに、甥の世話までして、さらに甥っ子まで見るなんて。なかなか大変ね」

九条美琴は急に機嫌がよくなり、思わずからかった。

陸川雅樹も笑う。

「そう言われると……確かに。そりゃ、俺が子ども好きだって思うよな...

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