第82章

「……は?」

九条美琴は頭の中がばちんと弾けた。振り返って彼を見上げると、形のいいアーモンド形の瞳をまん丸に見開く。

いつ、彼の彼女になるなんて承諾した?

図々しいにもほどがある。

数日前だって、菅野優斗と九条瑞希の目の前で、何の前触れもなく告白して「君を追いかける」と言い出したばかりだ。

それなのに今日は、九条柏人と佐倉麗子、さらに街の権力者たちが集う場で、勝手に二人の関係を公表してみせた。

「陸川雅樹、あんた――」

美琴は反射的に否定しようと口を開いた。だがその瞬間、腰に回された大きな手がぐっと力を込める。

水野莉央は至近距離で一部始終を見物し、表情が実に賑やかだった。

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