第85章

陸川雅樹はシートベルトをカチリと留めながら答えた。

「運転手に送らせてきた」

水野莉央がくすっと笑う。

「なるほど。陸川先生、最初から段取り済みってわけですね」

――そのとおりだ。

陸川雅樹は、九条美琴が今日、画展を見に来ると知っていた。だから月曜のシフトを同僚と替わって、わざわざ時間を空けた。

展示を見終えたら食事に誘うつもりだったから、自分では運転せず、運転手に送らせたのだ。

九条美琴は相変わらず彼を睨みつけていた。罵ってやりたいのに、結局は唇をきゅっと結んだまま。

ぷいっと不機嫌そうにエンジンをかけ、車を走らせる。

陸川雅樹は時折、横顔を盗み見ては評した。

「運転、...

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