第9章

「えっ……九条瑞希が、あなたを人さらいに売ったって?」

水野莉央は目を見開き、九条美琴の言葉を遮ってしまう。信じられない、と顔にありありと書いてあった。

「うん。売られていく途中でね……人さらいが、自分の口で言ってたのを聞いたの」

美琴は淡々と続ける。

「あの夜、最初は人違いで瑞希を掴んだの。私と運転手さんが必死で助け出して……その結果、思いがけない流れで、私が自分から虎穴に飛び込む羽目になった」

言い終えると、美琴はかすかに肩をすくめ、冷えた自嘲の笑みを浮かべた。

「運命って、ほんと皮肉だよね。この三年、何度も何度も後悔した。あの夜、なんで助けたんだろうって。馬鹿みたい」

九...

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