第90章

九条美琴は胸の奥がひくりと跳ね、反射的に自分の顔を手で覆った。ますます不機嫌になって、吐き捨てる。

「よく言うわ! こんな暑い日にドア開けっぱなしでカッコつけて……自分が魅力的だとでも思ってるの? こっちは暑くて死にそうなんだけど!」

「……」

陸川雅樹の口元がぴくりと引きつった。さすがに気まずい。

とはいえ、暑いのは事実だ。

これ以上からかえば九条美琴が本気で怒って帰りかねない。陸川雅樹は諦めたように薄く笑い、腕を下ろして一歩引くと、ドアをバンと閉めた。

九条美琴はようやく息をつく。内心で気持ちを整えつつ、手の甲を頬に当てた。

……確かに、少し熱い。

フロントガラス越しに、...

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