第816章:スキーム

セラフィナはドアをノックした。

中から返事はなかった。

セラフィナは眉をひそめ、時間を確認した。まだ終業時間にもなっていない。

彼女は歯を食いしばり、ドアを押し開けた。

案の定、広いオフィスは空っぽだった。

ダシールは早退したのか。珍しいこともあるものだ。

まあ、彼がいないなら好都合だ。

報告は明日に延ばせる。

今日はまだ片付けていないことが山ほどある。彼への報告書の準備に時間を全部使ってしまったのだ。

そう思い、セラフィナは踵を返して立ち去ろうとした。

オフィスの個室から、微かな物音が聞こえたような気がした。

彼女は足を止めた。

その瞬間、立ち去るべきだと自分に言い聞...

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