第10章 法廷で会う

 

古川寒弥が古川邸へ戻ったころには、すでに深夜だった。

屋敷は闇に沈み、彼のための灯りは一つもない。

――いつものことだ。

むしろ苛立ちのほうが先に立つ。

あの女、また何の小細工だ。

こんな真似で俺の気を引けるとでも思っているのか。

笑わせる。

古川寒弥はネクタイを乱暴に緩め、酒の匂いを纏ったまま二階へ上がる。

主寝室の扉を押し開けると、そこは空っぽだった。

ベッドは皺ひとつなく整えられ、まるで誰も暮らしていないモデルルームみたいに冷たい。

古川寒弥の眉が、ほんのわずかに寄る。

そのままウォークインクローゼットへ入った。

須藤寧音のスペースには、相変わらず華やかなド...

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